高齢のネコちゃんに最も多い病気のひとつが慢性腎不全です。
腎臓は血液の老廃物を濾過して尿として身体の外に出す働きをしています。
腎臓が悪くなると身体の中に毒素が溜まった「尿毒症」という状態に陥り、最終的には死を迎えてしまいます。
このような症状がでたら早めにご相談ください。
治療法は
腎臓は一度壊れてしまうと再生することができません。
そのため、出来るだけ早期に診断して、腎臓に負担への負担を減らし、腎臓の悪化を遅らせることが大切になります。
食餌療法では、適度に制限された良質なタンパク質と電解質バランスを考慮し、さらにビタミン類を強化したフードを与えます。
専用の治療食がありますので、これを利用するのが一般的です。
また、輸液療法により腎臓への負担を軽減することができます。
薬物療法としては①活性炭②リンの吸着剤③ACE阻害剤④造血剤ホルモン注射が一般的です。
嘔吐、脱水といった症状に対する対処療法と症状が重度の場合には、入院による点滴治療も必要となります。
腎臓用処方食
膀胱結石
ストラバイト結晶
犬と猫に認められる尿石症で多いものはシュウ酸カルシウムとストラバイト結石であり、この2種類で全体の9割を占めているといわれています。
このうち、ストラバイト結石単独で膀胱内に存在している場合は、治療食のみを挙げることで溶解することが可能です。
しかし、シュウ酸カルシウム結石は食事では溶解しないため外科手術による摘出が必要です。
そのため、結石が出来る前に予防をすることが重要です。
尿検査を実施し、尿の性状を見ることで尿石症のできやすさなどを評価することが可能です。
下記の写真はストラバイト結石でしたが、飼い主様がおなかを触って結石が触れているのがわかるほどでした。
膀胱への負担を考え、食事による溶解を期待するよりも先に外科的な摘出術を実施いたしました。
手術後は尿石用の食事を与えてもらい再発の防止につとめてもらっています。
雄猫は尿道が細く、膀胱にできた砂(尿石)が詰まることがあります。
砂が詰まってしまうと排尿が困難になり、尿毒症・膀胱破裂で死んでしまいます。
通常は尿石用の食事でコントロールできますが、再発を繰り返す子、尿道が狭くなってしまった子には手術が必要です。
左は顕微鏡で見えた結晶。右は尿道の狭くなった先端を切除して、尿道を広げたところです。