発作の原因
発作は様々な要因で起こることがあり、それぞれ対処法が違います。様々な可能性を探り、除外していくためには検査が必要です。
院内での血液検査を実施し、MRIが必要な場合は2次診療施設を紹介します。
脳内の異常
①てんかん発作
脳に異常な電気信号の伝達が起き、それによって発作が起こる病気です。比較的若い年齢で起こることが多いです。
発作が起こった時は病院に連絡して診察を受けてください。その際、発作を起こしている時の動画があれば参考になります。
発作の間隔や程度により投薬治療を開始します。
②脳炎
脳炎は感染性と非感染性に分かれます。診断にはMRIや脳脊髄液検査が必要になります。
生涯に渡っての免疫抑制剤の治療が必要です。
③腫瘍
パグ・フレンチブルドッグ・ボストンテリアなどの短頭種によく発生します。
MRIで診断します。
手術や放射線治療が必要な場合は大学病院で行う必要があります。
④水頭症
脳は脳脊髄液という液体の中に浮かんでいます。脳を振動や衝撃から守る仕組みと考えられています。
水頭症は脳脊髄液が異常に貯まり、脳を圧迫してしまう状態です。
先天性の水頭症と・腫瘍などによる2次性の水頭症があります。
外科療法としては脳脊髄液を腹腔内に逃がすチューブ(シャント)を埋め込みます。
内科療法としては脳脊髄液の産生を抑制する薬・抗てんかん薬・脳の炎症を抑える薬を使います。
⑤外傷
脳に受けた外傷の影響で発作の後遺症が出る場合があります。
脳外の原因
①腎不全
②肝不全(門脈シャント含む)
③低血糖
④低カルシウム
⑤甲状腺機能低下症
ホルネル症候群とは最終的に眼に到達する交感神経のいずれかの部位で神経が障害される病気です。障害される原因は外傷・内耳炎・腫瘍・感染症などが挙げられますが、原因不明の特発性の場合が多いと言われています。
眼の異常として
①縮瞳
②瞬膜突出
③眼瞼下垂
④眼球陥凹
の4症状がみられます。
原因が分かっている場合には原因治療を行います。
脳内には脳脊髄液という液体があり、その中に脳が浮かんでいるような構造をしています。脳脊髄液はクッションの役割をし、外力から脳を守っています。その脳脊髄液が過剰に貯まって脳を圧迫した状態を水頭症と言います。先天性と後天性の場合があり、先天性の場合はチワワ・ヨークシャーテリア・ポメラニアンなどの小型犬に多く見られます。
痙攣発作や嗜眠・異常行動や視力障害がみられます。
脳からお腹に管を通して水を流す外科療法・脳圧を下げたり発作を抑える内科療法があります。
大脳と小脳の壊死性炎症に起因した病気です。パグに多く見られることからこう呼ばれています。
痙攣・歩行困難・旋回運動などにより気付くケースが多いです。
確定診断には脳脊髄液検査やMRI検査が必要です。
ステロイドや免疫抑制剤で治療しますが残念ながら予後不良です。
平行感覚を司る前庭の障害により眼振が起き、斜頸やまっすぐ歩けなくなる状態です。病変部位によって
①末梢性(内耳の障害)
②中枢性(脳内の障害)
③特発性
に分かれます。原因が分かっている場合は原因治療をし、原因不明な場合は点滴や気持ち悪さを抑える薬、抗生剤や抗炎症剤の治療をします。
発作的に全身性の痙攣や意識障害を起こす病気です。
一般的には若齢で発症し、生涯に渡る治療が必要です。確定診断には血液検査・ホルモン検査・MRI・脳脊髄液検査が必要です。
発作は数分で治まることもありますが、一日のうちに何度も繰り返す発作(群発発作)や発作が数分間以上長く続く(重積状態)場合もあります。
動物の高齢化に伴い、昔は少なかった認知症が問題となり始めました。異常な夜泣き・昼夜逆転などにより、ご家族の不眠や隣家への影響で精神的に参ってしまう飼い主様もいます。
有効な治療は確立されていませんが、
①食事療法
②サプリメント
③薬物療法(抗うつ剤の一種)
④睡眠薬
などで症状を和らげることが出来ます。ご家族も大変だと思いますので当院で手助けさせてください。