心臓は生命維持のために最も欠かせない臓器です。心臓は5分でもその鼓動を止めれば動物は死に至ります。心臓病は、末期になるまで全く症状を示さないことがほとんどです。言い換えると、症状が出たときは末期の可能性が高いのです。定期検査を行い、早期に発見をして治療をはじめていきましょう。
当院では心臓の病気を総合的に判断するために心臓病検診を行っています。
心電図・レントゲン・超音波検査がセットになっています。
※費用は¥11,000(税込み)になります。
○身体検査
一般的な身体検査をし、心臓と肺の聴診を行います。
心臓病では多くの場合、聴診器で雑音が聴取されます。
心雑音とは心臓内の血の流れが乱れる音で、音の発生部位や雑音のタイミングから病気の候補が絞り込めることもあります。
○レントゲン検査
心臓の大きさや形、血管の太さ、肺や気管支などの呼吸器を評価する検査です。
○超音波(エコー)検査
心臓のリアルタイムの動きや、心機能を評価する検査です。
当院ではカラードップラーエコーを用いることにより、各血管の血流速度や、心臓内の逆流の有無・心臓の収縮力を把握することが可能です。
この検査により、心臓病の種類や重症度などを把握することができます。
○心電図検査
不整脈の診断や、心臓のどの部分に負担がかかっているかを判断するための検査です。
不整脈の種類によって使用する薬が変わることがあります。
○血液検査
心臓の特殊検査として心臓バイオマーカーであるNT-proBNPがあげられます。
NT-proBNPは、心筋への負担を数値で表したもので、心不全の重症度評価や心臓病の早期診断としても有用です。
健康な動物で上昇している場合は、今後心臓病が発症、もしくは重症化することが予想されます。
○内科的治療
お薬やお食事療法で心臓の負担を減らしていきます。
心臓病を治すわけではありませんが、お薬を使用することで症状を和らげ、病気の進行を遅らせ、より快適に長生きさせてあげることを
目的としています。
病気の種類や状態によりお薬の種類や量を調整していきます。
血圧を下げる薬や、利尿剤、強心剤、気管支拡張薬などを使用します。
○外科療法
動脈管開存症や心室中隔欠損症などの生まれつきの心疾患や、僧房弁閉鎖不全症・房室ブロックなどの後天性心疾患で適応となることがあります。
高度な設備を持つ施設でしかできない手術も多いため、適応であった場合、大学病院などの専門施設をご紹介致します。
犬で一番多い心臓病です。心臓は4つの部屋に分かれています。
部屋と部屋の間には扉があり、血液が逆戻りしないようにしています。
その扉を弁といいます。年齢とともに弁が壊れてしまい、血液がうまく流れなくなると様々な障害がでてきます。
はじめの症状として、疲れやすくなる、咳がでるなどの症状があります。
主に小型犬に多く、キャバリア、マルチーズ、シーズー、チワワなどが好発犬種としてあげられます。
早期に内科療法をすることにより、進行を遅らせることが可能です。
また、10才以下で重度な弁の変性がある場合、外科療法も対象となることがあります。
大型犬に多い心臓病です。心臓の筋肉が薄くなることによって血液を送り込む力が弱くなる病気です。
進行すると腹水や胸水が溜まり、不整脈が出て、突然死することもあります。
強心剤や血管拡張剤で症状を緩和します。
猫の心臓の病気で多く認められる心筋症の一つで、心筋が厚くなってしまうことにより心臓の内腔が狭くなり血液の循環が悪くなる疾患です。
メインクーンなどでは遺伝的に起こりやすく、甲状腺などのホルモン疾患によって発症したりします。
健診時に偶然見つかることも多く、無症状のまま寿命を終えることもありますが、急激に悪化し心停止してしまう場合など様々です。
胸水がたまり呼吸が苦しくなる・血栓が詰まり後駆麻痺などが症状として認められることがあります。
また、循環不全の影響により心臓で血栓という血の塊ができ、後肢の血管に詰まり、動脈血栓塞栓症という病態を引き起こすこともあります。
内科治療で症状を緩和することは可能ですが、治すことはできません。
レントゲン検査や超音波検査、場合によっては血液検査により判断することが可能です。
胸に水が貯まって呼吸困難で来院しました。
針で水を抜き、酸素吸入が必要です。
原因は腫瘍・乳び胸・外傷・ウィルス感染(FIP)・細菌感染・心臓疾患・低蛋白等
様々です。原因によって治療法が異なります。