整形外科
整形外科診療
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、膝関節にある膝のお皿(膝蓋骨)が、大腿骨の溝(滑車溝)の内側や外側に脱臼する病気です。
この脱臼により歩行の異常や痛みや炎症を引き起こすことがあります。
原因としては先天性や遺伝性、事故などによる後天性などが挙げられます。
重症度は下記のようにGradeⅠ〜Ⅳに分類されます
- GradeⅠ
- 触診により膝蓋骨が脱臼するが、自然と正常の位置に戻る
- GradeⅡ
- 膝の曲げ伸ばしの際に簡単に膝蓋骨が脱臼してしまう
- GradeⅢ
- 膝蓋骨は常に溝から脱臼してしまっているが、押して元の位置に戻そうとすると戻る
- GradeⅣ
- 膝蓋骨は常に溝から脱臼しており、押して元の位置に戻そうと思っても戻らない
グレードの数が大きくなるにつれて重症になってきます。
治療法としては、外科手術による滑車溝造溝術(溝を深くする手術)や脛骨粗面転移術と呼ばれる手術が一般的です。
当院では手術以外にも犬種や年齢、脱臼グレード、その子の性格などに応じて鎮痛剤やサプリメントなどによる内科治療や普段の生活環境の改善のアドバイスなどを含めたインフォームドも実施しております。 いつでもご相談ください。
犬レッグ・ペルテス病(レッグ・カルベ・ペルテス病:大腿骨頭壊死症)
成長期の小型犬で多く認められる大腿骨頭の虚血性壊死を示す病気です。股関節を伸ばした際に強い痛みが認められ、時間経過とともに筋肉量の低下が認められます。
場合によっては、壊死している骨頭が骨折してしまうこともあります。原因はわかっておらず、7ヶ月齢をピークに多く認められます。
痛み止めなどの内科治療もありますが、機能の回復が期待できることは少なく壊死してしまった大腿骨頭を切除する外科治療が第一選択になります。
手術により一時的に後ろ足の着床ができなくなりますが(1ヶ月前後)、リハビリを行うことで通常の運動機能まで回復できます。
股関節脱臼
主に外傷により起こります。
非観血的手術・観血的があります。
前十字靭帯断裂
前十字靭帯とは膝の曲げ伸ばしの運動に関わる、大腿骨から脛骨の間にある靭帯のことです。前十字靭帯断裂とはこの靭帯が断裂してしまう病気のことであり、それによって痛みが生じ、後肢を地面につくことができなくなり挙上したり体重をかけることができなくなってしまいます。その結果、座る際に正常な姿勢を保つことができなくなり、横座りや痛い足を投げ出して座るようになります。
小型犬の場合は外科の処置を行わずに鎮痛剤などを使用し安静にすることで改善が認められる場合があります。
一方、中型犬や大型犬の場合は一般的に外科手術が必要になることが多いです。
触診やレントゲン撮影により診断できる場合があり、後ろ足を引きずっていて安静にしていても治りが悪いなどの症状がある方はご相談ください。
椎間板ヘルニア
背骨(脊椎)の骨と骨の間にあるクッションのような役割を果たしている椎間板が何らかの原因により一部飛び出してしまい、脊髄を障害してしまうことで、痛みや麻痺を引き起こしてしまう病気です。椎間板の脱出の種類によりハンセンⅠ型(髄核が周りの線維から飛び出したもの)とハンセンⅡ型(線維が変形し膨らんだもの)と呼ばれる型があります。
症状は、疼痛のみの場合もありますが、歩様異常や後肢麻痺、排尿障害など発症部位と障害の程度により様々です。
診断には脊髄造影検査レントゲン件検査やCT、MRI検査が必要となります。
治療としては、症状が軽度な場合にはステロイドや鎮痛剤、ビタミン剤、サプリメントなどの内科的治療とケージレスト(安静)が挙げられますが、運動機能の障害や重度な麻痺症状がでる場合には早い段階での外科的治療が必要になります。
汎骨炎
大型犬の成長期に骨の炎症です。
当初は痛みを伴いますが、時間の経過とともに自然に治ります。
変形性骨関節症
関節軟骨の変化によって痛みなどの症状がでる進行性の病気です。高齢の動物20%は変形性関節症だと言われています。 変形性関節症はすべての関節に発症しますが、荷重のかかりやすい膝関節・股関節・肘関節でよくみられます。
対処法
- 肥満を防ぐ
- 適度な運動
- サプリメントの内服
免疫介在性多発性関節炎
自己免疫により、複数の関節で同時に炎症が起こる病気です。
発熱により元気食欲の低下・痛みで歩行が困難になります。針を刺し、関節液を顕微鏡で見ることによって確定します。
ステロイド等の免疫抑制剤を使用します。