高齢のネコちゃんに最も多い病気のひとつが慢性腎不全です。
腎臓は血液の老廃物を濾過して尿として身体の外に出す働きをしています。
腎臓が悪くなると身体の中に毒素が溜まった「尿毒症」という状態に陥り、最終的には死を迎えてしまいます。
このような症状がでたら早めにご相談ください。
ステージ | ステージ1 | ステージ2 | ステージ3 | ステージ4 |
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残りの腎機能 | 100~33% | 33~25% | 25~10% | <10% |
状態 | 症状なし | 多飲多尿 | 食欲不振 | 体重減少 |
クレアチニン | <1.6 | 1.6~2.8 | 2.9~5.0 | >5.0 |
治療法は
腎臓は一度壊れてしまうと再生することができません。
そのため、出来るだけ早期に診断して、腎臓に負担への負担を減らし、腎臓の悪化を遅らせることが大切になります。
食餌療法では、適度に制限された良質なタンパク質と電解質バランスを考慮し、さらにビタミン類を強化したフードを与えます。
専用の治療食がありますので、これを利用するのが一般的です。
また、輸液療法により腎臓への負担を軽減することができます。
薬物療法としては①活性炭②リンの吸着剤③ACE阻害剤④造血剤ホルモン注射が一般的です。
嘔吐、脱水といった症状に対する対処療法と症状が重度の場合には、入院による点滴治療も必要となります。
腎臓の繊維化 |
ベラプロストナトリウム |
尿毒症 |
活性炭(ネフガード・吸着炭カプセル) |
高血圧 |
降圧剤 |
タンパク尿 |
ACE阻害剤(フォルテコール) |
貧血 |
鉄・ビタミンサプリメント(FCVリキッド) 造血剤ホルモン(ネスプ) |
高リン血症 |
リン吸着剤(レンジアレン) |
処方食 |
k/d 腎臓サポート キドニーケア |
脱水 |
点滴 |
腎臓用処方食
腎臓用サプリメント
犬と猫に認められる尿石症で多いものはシュウ酸カルシウムとストラバイト結石であり、この2種類で全体の9割を占めているといわれています。
このうち、ストラバイト結石単独で膀胱内に存在している場合は、治療食のみを挙げることで溶解することが可能です。
しかし、シュウ酸カルシウム結石は食事では溶解しないため外科手術による摘出が必要です。
そのため、結石が出来る前に予防をすることが重要です。
尿検査を実施し、尿の性状を見ることで尿石症のできやすさなどを評価することが可能です。
下記の写真はストラバイト結石でしたが、飼い主様がおなかを触って結石が触れているのがわかるほどでした。
膀胱への負担を考え、食事による溶解を期待するよりも先に外科的な摘出術を実施いたしました。
手術後は尿石用の食事を与えてもらい再発の防止につとめてもらっています。
膀胱結石(レントゲン像)
尿石処方食
雄猫は尿道が細く、膀胱にできた砂(尿石)が詰まることがあります。
砂が詰まってしまうと排尿が困難になり、尿毒症・膀胱破裂で死んでしまいます。
通常は尿石用の食事でコントロールできますが、再発を繰り返す子、尿道が狭くなってしまった子には手術が必要です。
左は顕微鏡で見えた結晶。右は尿道の狭くなった先端を切除して、尿道を広げたところです。
腎臓に結石が見られます。
腎臓結石の99%はシュウ酸カルシウムから出来ていて、食事療法では溶けません。
これ以上増えないように水を多く与え、結石予防の処方食に変更します。
腎臓と尿管をつなぐ尿管とい管に結石が詰まる状態です。流れない尿は腎臓に貯まり、水腎症を起こします。
腎臓・尿管は左右二つありますので、片方だけ詰まっても症状がでない場合があります。
アメリカンショートヘア・マンチカン等は結石が出来やすい傾向にあります。
詰まった結石が流れない場合は尿管切開・あるいは腎臓と膀胱のバイパスであるSUBシステムを挿入する場合があります。
尿道は膀胱からつながる尿を体外に出す通り道です。
尿道に結石が詰まると膀胱から尿を出すことが出来なくなり、排尿の姿勢をするけれども尿は出ません。完全に尿がでなくなったときは緊急状態です。
尿道に詰まった石をカテーテルで膀胱まで戻して、膀胱切開で石を取り出します。
腎臓に嚢胞(水溜まり)が出来る病気です。正常な腎臓組織が減少し、腎不全に移行します。
遺伝的にペルシャに多く、予防法はありません。
腎臓に負担がかからないように腎臓用の処方食に変更します。
尿は腎臓で作られ、尿管という管を通って膀胱に蓄えられます。ある程度膀胱に尿が貯まると尿道から排出されます。
膀胱炎は感染炎症を起こした状態です。症状としては血尿・頻尿が起きます。
原因としては
①細菌感染
②膀胱結石による刺激
③膀胱腫瘍
④特発性膀胱炎(猫)
があります。猫の特発性膀胱炎は精神的なストレスが原因とされ、完治までに時間がかかります。
処方食・フェリウェイ・精神安定剤などの治療が必要な場合があります。
前立腺とは雄犬の副生殖腺です。 去勢していない高齢の雄犬は前立腺が肥大し、血尿や排便困難が起こる場合があります。
感染を起こすと前立腺炎になり、激しい痛みを伴います。
去勢をすることが最善の治療法ですが、麻酔が不可能な場合は前立腺を縮小させるお薬を使う場合があります。